裏腹な彼との恋愛設計図
「こんにちは」

「……」

「向こうにぬりえがあるよ。やる?」


黙ったまま首を横に振る女の子に、柊さんはにこりと微笑む。


「そっか、じゃあ皆と一緒におうちの中見ようか。この手袋してくれるかな?」


家の中が汚れないようにするために、皆さんには軍手をしてもらっている。

あの子、受け取ってくれるかな?と少し心配しながら見ていると。

柊さんはビニール袋の中から子供用の軍手を取り出し、それを女の子の目の前に掲げた。


「じゃーん」

「……わ!」


それは、手の部分は真っ赤で白い斑点が描いてあり、手首の部分が緑色になっている、可愛い苺のデザインの軍手。

これには女の子も目を輝かせて、自然と受け取っていた。


「ほら、苺になった」

「かわいい!」


彼が小さな手にはめてあげると、嬉しそうな笑い声が響いた。

そんな女の子の頭を、微笑みながら優しくぽんぽんと撫でる柊さん。

その仕草や接し方に、見ている私がハートを撃ち抜かれてしまった。

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