彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
◇LOVE充電!4代目は準備中!!


真っ暗な場所を歩いている。

暗いけど、進んでいる道がわかる。

でも、明かりも何もなくて、段々と不安になる。




《凛!また、漫画なんて読んで!本を読みなさい!》

《凛、父さんは凛のために残業してるんだぞ?もっと勉強を頑張れないのか?》




お母さん?お父さん?




《凛にとって、良いことだからしなさい!あなたも、神様に祈りなさい!》

《親の言うことは聞くべきだぞ?誰のおかげで、生まれてこられたと思ってるんだ?》




お母さん、お父さん、やめて!


追いかけてくる声は、私の知っている人達。





≪凛っ!≫

≪凛!!≫





怒った声で、繰り返し、私を攻め立てる。






やめて!やめて!

ごめんなさい!怒らないで!

言うこと聞くから、嫌なことを言わないで!



(ちゃんといい子にするから、頑張るから――――――――!!)






「頑張らなくていい。」

「え?」

「凛は、そんなことしなくていいんだ。」






その『声』に合わせ、ラジオのように流れていた『嫌な音』が消える。







「凛は、悪くない。俺が、凛はいい子だって知ってる。」


誰?


(あなた、誰?)





白い服を着た男の人が、『小さい私』を抱き上げる。






「龍星軍総長、真田瑞希の目に狂いはねぇーよ!凛は、俺の自慢のいい子だ。」

「瑞希お兄ちゃん!!」






とたんに、周囲が明るくなる。

温かくって、やわらかくって、気持ち良い。

それをもっと感じたくて、私は彼に抱き付いた。






「・・・・ん!・・り・・・・!!」





誰かが、何か言っている。






「凛!」

「えっ!?」






名前を呼ばれた。

ビクッと身体が震える。

その動きに続き、沈んでいた意識が浮き上がる。






「しっかりしろ、凛!」






その言葉で、視界が明るくなる。





「大丈夫か、凛!?」

「・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・?」






視界に映ったのは、心配そうに私を見る好きな人。

天井をバックに、私をのぞき込んできていた。

< 850 / 1,276 >

この作品をシェア

pagetop