幼馴染みはイジワル課長
自分の今の状況が整理できない…碧に抱きしめられるなんて…これは夢?





「あ、碧っ…違うの!こういう事はいいの…私はっ…」

「黙って」


碧の温もりに包まれていると梨絵の顔が思い浮かびハッと我に返る。梨絵に申し訳ないという想いが襲ってきて碧から離れようとすると、碧は腕にぐっと力を入れて私を離さない。





「好きなんて言ってごめんねっ…でも…こういう事をして欲しいわけじゃないの」

「いいから…」

「良くないよ…だって……梨絵に・・・悪いよ…梨絵は…碧のことが好きなんだからっ…」


勢いで言ってしまった…

これ言えば碧が私から離れると思ったから…

これでいいんだ…



これでやっと…私の初恋が終わる…









「…知ってる」

「…っ!」


碧から思わぬ返事が帰って来て私は思わず顔を上げて碧を見た。碧は少し複雑そうな顔をしていたけど、すぐ笑顔になり眉を下に下げて優しく微笑んだ。

私は碧から目を逸らすことが出来なくて、そのままじっと碧を見つめる…



知ってるってどういうこと…?

梨絵に好かれていた事に気づいてたってこと…?


頭の中には疑問がたくさん生まれ、碧に聞きたい気もしたけどなんとなく怖くて聞けなかった…

私は一瞬碧から目を逸らして梨絵のことを考えていた。梨絵が亡くなってから碧と梨絵のことを深く話す事はほとんどなかったけど…ちゃんと梨絵と向き合う時がきたんだろうか…

碧と梨絵の事を話す時は…今なの…?





「梨絵は俺の大事な幼馴染みだ。今も妹みたいに思ってる…だけど…お前は違う」

「碧…?」


一気に梨絵の事が頭から離れていく…

意味深な碧の発言が私をまるで金縛りにさせたようだ。瞬きも忘れてしまうくらい、碧だけを見つめてしまう…








「俺も好きだ…」


そして碧の口からその言葉を聞いた時、本当に心臓が止まるかと思った…それくらいびっくりした…

同時に更に涙が溢れ出し声を出して泣いた…

碧は私をなだめるように抱きしめると、耳元で何度も「ごめん」とか…「好きだ」とつぶやいていた。


嬉しくて死にそう…

てゆうかもう死んでもいいかも…





「桜花」


私から少し体を離す碧は、私の頬にそっと手を当てて優しい顔をして見つめる。そんな碧に見とれていると碧は私にゆっくりとキスをした…


碧の柔らかい唇に触れて溶けてしまいそうだ…

私は甘くて優しいキスを受けながら、目を閉じて碧に体を預けるようにより近づいた。




私のファーストキスの相手は碧。そんなことが訪れるなんて思ってもいなかったよ…


このまま時間が止まってしまえばいいのにと、本気で思った…

ここにいる私と碧は上司と部下でも幼馴染みでもなく…ただの男と女…

梨絵のことも今は忘れたい…ごめんね、梨絵…


今は…碧の事が好きな1人でいたい…





誰もいないオフィスで…私と碧は上司と部下幼馴染み以上の関係になった。



ごめんなさい、梨絵…

碧が好きな気持ち…もう止まらないよ…
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