いつかあなたに還るまで
「お祖父様…? 一体何を言って…」
何故突然そんな事を?
祖父は何かを感じ取っている・・・・?
ドクンドクンと鼓動が早くなっていくのがわかる。
明らかに動揺を見せる志保の姿に、昌臣は何も言わずに微笑むだけ。
「まぁあまり難しく考えずに彼と会ってみなさい。お前にとっても彼にとっても何か得られることがあるかもしれん」
「…」
「そうだ。来週うちの創立記念パーティには彼と一緒に来なさい」
「えっ?」
これまで会社絡みのパーティには度々出席するように言われてきた。
直結の身内としてある程度は顔を広めなくてはならないからだ。
「わけのわからん男が寄ってくるよりはましだろう?」
財閥の孫娘の上、いつもパートナーを伴わずに参加している志保は下心のある男達の格好の餌食になりやすかった。だからいつもは着飾った宮間にお供をしてもらっていたのだが…
「…わかりました」
「うむ。じゃあ彼の方には私から伝えておこう」
満足そうにそう言うと、昌臣は途中だった食事を再開した。