いつかあなたに還るまで



「こんばんは。今日は私をパートナーに選んでくださってありがとうございます」
「いえ、こちらこそ急だったにもかかわらずありがとうございます」
「とんでもありません。志保さんからのお誘いならいつだって喜んでお受けしますよ。それこそ仕事を放り出してでも」
「えっ…?」

こと仕事に関しては真面目だと聞いている男から出た言葉に思わず目を丸くする。見ればそんな志保の表情の変化をどこか楽しそうに見つめている瞳とぶつかった。

(あ…)

「あまりこんなことを言うと軽く受け取られてしまうかもしれないですけど。この場に呼んでもらえたのが僕だったことを本当に嬉しく思ってるんですよ。…そしてこんなに綺麗な志保さんを見られるなんて、尚更です」
「そ、んなこと…」
「お世辞ではありませんよ。本当に綺麗です」

「あ…ありがとう、ございます…」

みるみるうちに顔を赤くして俯いてしまった志保の頭上からクスッと笑い声が降ってくる。ハッとして顔を上げれば、やはりどこか楽しそうな彼が目を細めながらこちらを見つめていた。


(…いつもより…目が優しい…)

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