いつかあなたに還るまで

当然ながらこの光景を見ている人の目は多い。
だが隼人はそんなことなど意にも介さず、ビュッフェ形式のテーブルの前で立ち止まるとおもむろにトレーを志保へと手渡した。

「え…? あ、あの…」
「志保さん、人間の三大欲求は何ですか?」
「えっ?!」

突然何を?!

「人間の三大欲求、ご存知ですよね?」
「は、はい…。食欲と、性欲と、睡眠欲、かと…」

2つ目は若干小声になった志保にニッコリ笑うと、隼人は次々と目の前の見た目にも美味しそうな料理を皿へと載せていく。相変わらず志保にとっては何が何だかわからない。

「人間はそのどれか一つでも満たされていると幸せを感じることができるそうです」
「…え?」
「これだけのご馳走が有り余ってるんです。それをみすみす無視するなんてバカらしい思いませんか?」

「……」
「さ、とにかく食べましょう。温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに。それがより美味しさを倍増させる秘訣だそうですよ」

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