いつかあなたに還るまで
結局その日、夜になってもなかなか帰って来ないことを不信に思った宮間によって志保の居所はあっという間にばれてしまった。携帯にGPSが組み込まれていたのだ。
もともと何の計画もない家出だった。
ただ家に帰りたくなかった。見合いをしたくなかった。
その気持ちだけで実行されたものだった。
初めての志保の反乱に邸に帰るとそれはそれは大騒ぎになっていた。中には警察に捜索願を出した方がいいのではと言い出す者までいたらしく、かえって宮間が見つけてくれて良かったとすら思ったほどだ。
後にこの騒ぎを聞きつけた祖父は結局見合いを引き下げてくれた。
それほど志保の反乱は驚きをもって受け入れられた。
何故そこまでして嫌がったのか、その理由を話すことは最後までしなかった。
これからも仕事では繋がりがあるかもしれない、そう思うと祖父の仕事の邪魔になるようなことは言えなかった。
それ以降、相談もなしに見合いを設定することなどしないと祖父は約束してくれていたのに…