音楽が聴こえる
「先生、昼までの約束だったんで、俺ら今日は終わりにしようかと」

確かにいつの間にか、お昼過ぎの時間。

あと一時間もしないうちに、ここのスタッフ達も店へやってくるはずだ。

「そうだね。そろそろ片付けてくれるかな」

佐由美さんは、教師のあたしがよほど珍しいのだろう。

ニヤニヤが止まらない。

これだから昔からの友人って奴は。

「高城君、さっきのだけど……」

「時間無いけど自分のところ、もう一回見直してみますよ」

高城は自分の眼鏡のフレームをくいっと押し上げた。

「ほんっとに粒揃いな子達ね、なかやん推薦は。あれ? そういえば、なかやんは?」

「あっち」

あたしは裏口を指差した。

「電話では話したんだけど、顔を見てやる……あーっ、来た、来た!!」

なかや~ん、と小走りしながら叫ぶ佐由美さんを見て高城は苦笑を浮かべる。

「先生のお友達、元気良い」

「……年上なんだけどね」
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