音楽が聴こえる

side ジュン

◆◆◆
悟さんに連れて来られたのは、ライヴハウスの三軒隣りにある洋食屋だった。

小綺麗な店のウェトレスの姉ちゃんは悟さんを見るなり、目を輝かせた。

悟さんはが、よう、と手を挙げると、嬉しそうに近付いて来る姿は、分かりやすい。

ぶっ。悟さんに、気のある姉ちゃんかよ。


だから、後ろから楽器を背負ってついてきた俺らを見てみて、いかにも残念そうな顔をしやがった。

悟さんは、そんな姉ちゃんの顔なんてお構い無しで案内もされてねぇのに、店の中の一番広い八人掛けのテーブルを陣取る。

まあ、土曜日で近所の会社が休みのせいか、客なんていねーんだけど。


「好きなもん食っていいぞ」と言った悟さんは迷うことなく、今日のランチを頼んだ。

ウェトレスの姉ちゃんは「今日はハンバーグじゃないんですか?」なんて、愛想を撒き散らしてる。

「あ? あー昨日食ったから、いらね」

俺達も無難に悟さんと同じランチを頼む。
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