音楽が聴こえる
「例えば、人通り少ない校舎とか」

悟さんのいやらしい笑いは、訳知り顔だ。
絶対、香田の奴っ。

「…………チクったのこっちかよ」


「何すか、それ?」「ジュン、今彼女いたっけか?」

山路も斗夢も悟さんの発言に色めき立つ。

「ジュン、この間体育の後サボってたよ。多分ミス陵北と」

……謙二の野郎。
お前、とっとと逃げたじゃねーか。

とぼけ顔の謙二を睨むと、悟さんが吹き出した。

クソ。さりげなく香田から話しを逸らされたぜ。


「あれ? ジュン、否定しないの?」

謙二の奴も察しが付いてるくせに、わざと煽りやがる。

「…何も」

梨花に感じた、やるせ無い嫌悪の気持ちを誰かに語るつもりもねーし。


「それにしてもジュンはモテるかんなー」と斗夢が言うと、山路は「セフレがミス陵北とか有り得ねーよ」なんて欲しくもない羨望の眼差しを注いで来た。

「山路うっせーよ。何も言ってねぇだろ」

「ジュン分かってんだろ? お前が口閉じてたって、女は余所でベラベラ喋ってるぜ?」
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