White Magic ~俺様ドクターの魔法~


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「睦美、別れてくれた?」


周りが誰もいないとわかると、彼は仕事中でもこんなことを言いだす。


「・・・・・・神尾先生、回診の時間です」



私は彼の言葉を無視して、ナースステーションを出た。


仕事中は、回診などの時は一緒、そして仕事が終わっても2回目の勉強会の準備のために遅くまで残っている。



瞬さんに会いたかったが、月曜は当直で、火曜は私が夜勤だったので会えなかった。



【睦美、明日会える?】


火曜日の夜勤中に、ふとスマホを見ると、瞬さんからこんなメールが来ていた。


【会えるよ。夕食を作って待ってるね】


よし!送信!!


「ももちゃん。嬉しそうやね~」



中川副師長は、私の表情を見て、意味深な笑顔で話しかけてきた。


中川副師長は、表情を読むのが上手い。



「いえ・・・まぁ・・・」



ものすごく、曖昧な返事をすると、中川副師長は「いいわね、若いって」と言い、シュークリームを食べていた。



中川さんは45歳で、19歳と21歳の二人のお母さん。


出産後もずっと働き続けており、お子さんが高校を卒業したのを機に夜勤に入ってくれるようになった。



【じゃあ、明日はなるべく早く帰るようにする】



そんなメールが返って来て、再び口元が緩む。

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