甘いヒミツは恋の罠
「失礼します」


 店長室に入ると、奥に朝比奈が座っていた。仕事の途中だったのか書類整理をしていて、紅美には目もくれないでいる。


「あの、週明けにここにくるように言われましたので、お伺いしたんですけど……」


「先週、あの男と何をしていた?」


「え……?」


 単刀直入過ぎる朝比奈の質問に、紅美は思わず言葉に詰まってしまう。


(あの男って……大野さんのことだよね……?)


「あの男っていうのは……?」


 心の中ではわかっていたが、何かのカマかけかもしれないと警戒すると、紅美は敢えて質問を返した。


「お前、本当に質問を質問で返すのが得意だな。先週、俺と会った時にお前の横にいたスカした男だよ」


「大野さんは、そんな人じゃありません」


「あの男は木田宝飾のやつだろう?」


(だったらなんだって言うの!?)


 紅美は、沸き起こる苛立ちを隠しながら拳を握った。
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