短編集
隠れている彼に会うのはやめにして、もう一度メッセージを読んだ。
『今日はムリ。心臓が壊れそう。』
この言葉はきっと、前回の私のメッセージを読んだ感想だと思う。
昨日の私は
『君の好きな人知ってるよ。春香ちゃんでしょ?』
そう書いた。
言い当てて、驚かせてしまったのかも。
『夢に言いたいことがある。明日言う。』
それはきっと、春香ちゃんに関する相談だろうと思った。
ピンクのチョークを取り、今日も書き込んだ。
『かくれんぼしている君を見つけようと思ったけど、やめて帰るね。
何でも相談に乗るよ。春香ちゃんのことかな?
年下くん、また明日ね!』
雨の中に傘を差して歩き出す。
憂鬱な雨も黒い雲も、不思議と嫌じゃなかった。
年下くんのメッセージは、私の心に優しい光を届けてくれる。
啓太くんに会えない苦しさが、少しだけ楽になった気がした。