短編集
 


6棟並んだ市営住宅が見えてきた。

50年前に建てられ、外壁も屋根も古く汚れている。


建物の隙間に見えるのは、壊れた自転車しか残されていない、空っぽの駐輪場に、

誰もいない寂れた公園。



その風景を目にした途端、たまらず座席から立ち上がった。


最近引っ越した新しいマンションは、5つ先の駅だけど、

我慢できずに、3駅目で下りてしまった。




駅の改札を出て、小走りに通りを歩く。


八百屋に魚屋、お花屋さんに雑貨屋さん。

パン屋さんと郵便局と……


小さな小さな商店街は、少し前まで賑やかだったのに、買物客が激減していた。



お肉屋さんのシャッターは下りたままで、

『閉店しました』と淋しげな張り紙がされていた。



< 2 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop