短編集
 


自分の手なのに、自分の意思では動かせない。


手に加わる力が、徐々に強くなっていく。


気道が狭まり、笛みたいにヒューヒュー喉を鳴らした。



涙目で鏡を見ると、鏡の中のアカリが虚ろな目を向けていた。


彼女が口を開く。


生気のない唇が、何かの言葉を形作っていた。



『――――』



意識の大半は息苦しさに向き、彼女の言葉を理解できない。



自分の物と思えない力で、私の手が私の首を絞め上げていた。



呼吸は完全に止まり、よだれを垂らし、白目が充血する。



霞む視界の中、鏡の中の彼女がもう一度唇を動かした。





―― ワタシ を

     カエシテ ――





人生最後に聞いたのは、恨みのこもるアカリの言葉だった。




    【終わり】



ここまで読んで下さった皆さま、本当にありがとうございます。
m(__)m

思いついた時に短編追加しますので、また読みにいらして下さいね♪


< 61 / 61 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:14

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
「興味がないなら興味を持たせればいい。 俺は狙った獲物は逃がさない。覚悟しておけ」 ハンターか肉食獣しか言わなそうな台詞が似合うのは、 彼くらいのものだろう。 たぐいまれなる美貌の持ち主に言われると、 意思とは無関係に心臓が波打った。 そっとしておいてほしい婚約破棄された平凡OL × 攻め落としたい俺様CEOのオフィスラブ。 2025.10.5 完結公開 改稿前の文章です。
鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
「私に可愛げを求められても困るわよ」 鉄の女社長と呼ばれる絢乃は、取引先の社長とビジネス結婚をする。 早く子供を作って離婚するつもりが、巧みな彼に絆されてーー 「あなたはいい人ね」 「足りないな。それじゃ喜べない」 「どう言えばいいの?」 「愛してると言ってくれ。俺は愛してるよ。最高の妻を」 社長×社長のしっとり大人のラブストーリー。 2025.6.3公開。 改稿前の文章です。
表紙を見る 表紙を閉じる
子供の頃からの片想い。 兄妹のような関係が続くのは苦しいけど、 崩すのも怖くて。 そんなある日、 「俺は男だぞ。わかっているのか?」 「そっちこそ、私を女だと思っていないくせに」 同じベッドで寝ても、なにも起きないはずなのに―ー。 「お前は成長して大人になった。もう妹だとは思えない」 片想いこじらせ中のフリーライターと、 エリート警視正のじれラブ。 (ベリーズ文庫二月刊で発売予定です。こちらは改稿前の文章です。文庫版には番外編がついています)

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop