冷たい上司の温め方

「そんな……」


退職届って。
やっと就職できたと喜んでいるのに。


「楠君が出動したってことは、ひと悶着あったわね」


後ろから話しかけてきたのは遠藤さんだ。


「はい……」

「左遷、ってとこ?」

「どうして知ってるんですか?」


遠藤さんは私を引っ張って、あまり使われない階段の踊り場に移動した。


「販売促進部の吉田課長は、得意先からも評判が良くないのよ。横柄な態度で嫌われてて」

「そうなんですか?」


小さく頷いた遠藤さんは、再び口を開く。


「坂上課長は、そこまでじゃないけど、他の社員の言うことに絶対に耳を貸さない人なの。
それで成功していればいいんだけど、実績は下降線。
楠君、そういうことを全部把握しているはずよ」


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