冷たい上司の温め方
「あの……もしかして、私も危ないですか?」
結構切実だ。
元々正式な採用ルートを通ってきたわけじゃない。
雑用に駆け回るだけの楠さんのシモベなんてイヤだと思っていたのに、結局シモベとしてしか、私の価値などない気もする。
「お前、話聞いてるのか?」
楠さんが呆れた顔をして、メガネのフレームに触れる。
「一応、聞いているつもりです。これでも、頑張っている……」
「だから、鍛えれば使えるようになるかもしれないヤツは残すって言ってるんだ」
笹川さんが私達のやり取りを見て、プッと噴き出す。
「私、セーフ?」
「あぁ。ただし、勝手に突っ走るところをなんとかしないと、先は知らん」
セーフだって。
私、まだここにいられるんだって!