冷たい上司の温め方

確かにさっきの出来事はショックだった。
だけど、それ以上に三課では学んだことがある。


「俺の目は正しかったらしいな」


彼はメガネのフレームに触れる。
いつもの癖だ。


「恐ろしく、前向きな女だ」

「恐ろしいってなんですか!」


褒められているんだか、けなされているんだか……。

だけど、私は負けない。
三課で働くと自分で決めたのだから。

きっと楠さんも笹川さんも通ってきた道なのだ。


「今度の休み、遊ぶ相手いないんだったら、遊んでやる」

「遊ぶって……小学生のお約束ですか?」

「お前がそう言ったんだ」


私が茶化すと、少し不機嫌になった彼は、飲み終わったコーヒーの缶をゴミ箱に放り投げた。


「やったー。ランチバイキング行きましょうよ。
ランチ、おごってくれるんですよね」

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