冷たい上司の温め方
「聞いちゃうよ、もちろん」
「あのさ、私がバカだったんだけど……」
聡子の話は私を驚かせるのに十分だった。
「早い話、利用されちゃったのよ。
ほら、うちの父、一応会社の重役してるじゃない」
聡子のお父様は、一部上場企業の重役だったっけ。
「私、美帆乃が一生懸命就活してるの見て、自分の人生、もっと真剣に考えなくちゃ後悔すると思ったの。
今までは就職口がなかったら適当に派遣でもして、あとはそれなりの家庭に嫁に行ってと思ってたんだよね」
確かに、いざとなったら家事手伝いでいいと言っていた。
「それで、私も真面目に就活やってみようと思ったの」
聡子が就職活動に熱心でなかったことは知っていたけど、就活し始めていたことは知らなかった。
最近、論文で忙しくて、なかなか会えなかったから。