冷たい上司の温め方

「それに、本当に好きなことができるのって、今しかないのかなぁとも思った。
それで、遅ればせながらいろんな会社にメールしてみたり、手紙出してみたりしたわけ」

「うんうん。いいことじゃん」


お嬢様の聡子が自分から動き出したことに、かなり驚いたけど、いい傾向だと思う。
やっぱり人生は自分で切り開くべきだ。

だけど、『利用された』って、どういうこと?


「そしたらひとつ引っかかって、早速来てくださいなんて言われて、面接に行ってきたの。でも……」


聡子は持っていたフォークを皿に置くと、少し困った顔をして口を開いた。


「どうしてだか父の話になってね。
家庭で仕事の話をされませんか?って言うから……なんだか変だとは思ったんだけど……」


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