冷たい上司の温め方
「ごめんね、こんな話。
でも、美帆乃には頑張ってほしい。
私と違って美帆乃にはできる気がする」
聡子は悲しそうに微笑む。
「美帆乃はちゃんと自分の足で歩いてきたでしょ?
私は親のすねばっかりかじってきたつけが今になってきたのよ。
少しこれからの事考えてみる」
「う、うん」
確かに私の家庭は、聡子の家ほど裕福ではなかった。
実家はいたって普通のサラリーマン家庭で、仕送りもそんなに多くはない。
それは、弟も大学生で負担が大変なことを考えた私が、弟と話してそれで十分だと言ったからだ。
けれど、それだけではとても生活できなくて、バイトにも励んできた。
教科書などの出費がかさむ時期は、掛け持ちで働かなきゃ食えないみたいな時期も経験したから、それなりに大変だった。
だけど、このタフな根性と無駄にある体力はそのおかげかもしれない。