冷たい上司の温め方

会社を出ると、彼はタクシーを捕まえ、私も一緒に押し込んだ。
そして、自分のマンションの前で私も降ろした。


「あの……」


私がなにを問いかけても彼は一切答えない。
また冷たいオトコに戻ったみたいだ。

だけど……強い力で私の腕を引いて家に入れると、ドアが閉まり終わる前に私の唇を覆う。


「ん……」


繋がった唇の隙間から溜息が漏れる。

楠さんは一度私を解放すると、メガネを取って再びキスを落とす。
邪魔だったメガネがなくなったからか、キスがドンドン深くなる。

思わず後ずさりすると、彼は私を壁に押し付け、キスを続ける。

彼はもしかしたら、愛や恋なんていう感情とは無縁な人なのではないかと思っていた。

だけど、違う。
本当はこんなに熱い。
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