何度でもキミに初恋を
浴衣
綾ちゃんとアイスクリームを食べてからバイバイした。

家に着くと、リビングのソファーでお姉ちゃんが寝転んで漫画を読んでいた。



『あ、すずかお帰りー』

お姉ちゃんは漫画から目をそらさず言う。


三つ上のお姉ちゃんは20歳の短大生。
短大が夏休みなので、毎日こうして家で漫画を読んでいる。美人なのに、実は干物女で彼氏はおろか、好きな人さえいないと広言している。


『ねぇ、お姉ちゃん?』

『なに?』

お姉ちゃんは相変わらず漫画から目をそらさない。


『花火大会ってさ、何着ていくのがいいと思う?』

『行くの?』

『…うん』

『へぇ』

『……』

『ま、花火大会っていったらさ…』

お姉ちゃんはここでチラッと私を見て、

『そりゃあ、やっぱり浴衣じゃないの?』

『やっぱり?』

『やっぱり』



お姉ちゃんはまた漫画を真剣に読み始める。


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