何度でもキミに初恋を
ちょっと気が滅入ったので、久々にすずの教室に遊びに行こうかな…
俺は考える。


最近は、すずが『柚樹先輩』ばかり言うのに訳もなくイライラするから、行かないようにしていた。


階段を上って、すずの教室を覗こうとした時、
ドアのところで、すずが一人の男と話しているのが見えた。


あー、あれが噂の柚樹先輩ってやつか。

爽やかな笑顔がフェミニンって感じだ。

俺はまた訳もなくイライラする。

会話が終わったようなので、すずに話しかけようと一歩踏み出した時だった。


すずは白い頬をピンクに染めて、柚樹先輩ってやつをじっと見つめている。


その姿を見た瞬間、俺は、階段を駆け下りていた。


訳もなくイライラする。


三階から一気に一階まで駆け下りて、靴箱にもたれかかる。


『あー、イライラする』


俺は頭をかきむしりながら、そのままズルズルと座り込んだ。



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