幸せにする刺客、幸せになる資格
大和くんは、地元の県立高校に入った。
私の母校。

ノリが入学式に行った時、大和くんは既に女子から黄色い声が上がっていたらしい。

サッカー部でポジションはトップ下。
中学生の頃から一緒だった人も多く、モテる高校生になっているようだけど・・・本人はそんなことには無頓着。

「大和くん、時期を見て紹介してくれるかな、彼女」
『自分から紹介してくるなら別だけど、こういうのはデリケートな話だから、こっちから首を突っ込むことはしたくないんだ。君もそのつもりでね』
「うん」

ところが、大和くんからの告白は、その1週間後にすぐ訪れた。

今日から摘果作業というこの日。

土曜日だったこともあり、大和くんも手伝うと言う。
恒例になったけど、私の両親や兄も手伝いに来た。

ところが・・・作業前に集まった家のリビングに、さらなる来客が。

インターホンに反応し、玄関に行くのは大和くん。

そして一緒に入ってきたのは…女の子。

大和くんの部屋に招かれる所を目撃した女の子と多分同一人物だろう。

数人の大人と5人の子供の前に立つふたり。

『父さん、彼女は、今日の摘果作業を手伝いたいと来てくれた、僕の同級生』

大和くんがそう言うと、彼女がその横に立った。
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