幸せにする刺客、幸せになる資格
母さんの言う通り。
僕のDNAだけなら間違いなく大和はインドア派になるはずが、事あるごとに外に出てサッカーやキャッチボールをしている。

うちの近くに野球のクラブはなかったので、サッカーを本格的に始めたんだ。
この活発な性格は…恐らく紅葉のDNAだろう。

『亜香里さんと言ったわね、貴方はノリとどうやって知り合ったのかしら』

母さんからの質問に、誠実に全てを答えた亜香里。

『自分の子供じゃない大和を、貴方は育てられるのかしら。血の繋がりもないのに』

先程の涙声から一転、その言い方には明らかに棘がある。

「大和の前でそんな言い方しないで貰えるかな。少しは配慮しろ」

俺は母さんの熟考しないまま思ったことを口にする性格が許せない。

『子供を育てるのって大変なことよ』
「そんなこと百も承知」

"産みの親より育ての親"とは、よく言われていること。

『亜香里さんは、おいくつ?』
『今年、28になります。徳文さんの1つ学年は上になります』
『年上にしては、頼りなさそうに見えるわね』
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