幸せにする刺客、幸せになる資格
そして、夜。

大和くんが帰ってきて、3人で食卓を囲む。

『大和、お父さん、今日亜香里と結婚したよ』
『うっそ、本当に?やったぁ。亜香里ちゃん、いつからここに来るの?』

大和くんは私が早くここに住んで欲しいみたいだ。

「今日はここに泊まるけど、ずっといるようになるのは摘果と結婚式が終わってからだよ」
『けっこんしき?』

大和くんは誰かの結婚式に出たことがないんだろうな。
ピンと来ないみたいだ。

『お父さんと亜香里が、神様の前で永遠に大好きだよっていうことを宣言する儀式なんだ。ダイちゃんのお父さんお母さんだってやったことだよ』
『みんなやるんだ、けっこんしき』
「だから、大和くんも一緒にお父さんと私の結婚式を見届けてよ」
『分かった。僕もじゃぁ、約束するよ、ずっとお父さんと亜香里さんが大好きだって』
『そうだな』

夜10時。
"明日の朝、僕を起こしてね"と言い残して、自分の部屋で寝静まった大和くん。

夕飯の後片付けも終わり、ノリが冷蔵庫から"これ、飲む?"と持って来たのは、シードル。

『うちのりんごから作ったやつで、今年の収穫が終わったら本格的に販売しようかと思っているんだ。そのためには酒類の販売業の登録をしなければならないから、今申請を出しているところだけど。許可が下りたらインターネット販売を開始しようかな、って』
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