幸せにする刺客、幸せになる資格
『お姉ちゃん、可愛いね』

和志の言う"お姉ちゃん"とは、多分玲奈ちゃんのことだろう。
全く、前に大和が初対面で玲奈ちゃんに言った言葉と同じことを言いやがる。
そりゃ、玲奈ちゃんはかわいいけどさ。

お前が年齢的に年相応なのは隣にいるマリちゃんの方だろうが。

『亜香里さんや大和くんたちは?』
「家にいるよ。みんなでお昼ご飯食べるのに用意しているから、行こう」
『行こうよ!』

と、和志・・・カズはマリちゃんの腕を引っ張った。

「おいカズ、女の子に乱暴なことしちゃダメだろ?」
『はぁい』
『カズ?・・・連れてってよ、お家まで』

マリちゃんは優しいからカズの誘いに乗っちゃった。
そして2人で走って家に先に向かって行った。

『マリはあのくらいが丁度いいよ。普段はなかなか都会の生活の中で走り回れる機会がないから、せっかくここに来たんだから、自由に動き回ればいい』

健吾はそう言って走って行く2人を目を細めて見つめた。

家の前に着くと、玲奈ちゃんが隣にある建物に興味を持った。

『この建物は、何?』
「これは、加工品を備蓄しておく倉庫だよ。ジュースやジャム、酒類や、今はドライフルーツもある。あと、発送作業もここでやっているんだ。ちなみに2階は大和の勉強部屋。今はもうすっかりそこを寝床にしているけどね」
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