初恋の絵本




制服のネクタイを結んで
学校へ登校する。




「心実」


教室に入ろうとしたら、
ハルに呼び持てられた。


「ハル?朝練じゃないの?こんな時間に珍しいね」

「サボった」

「また?翔くんに叱られるよ」

「練習なんかしなくても強ければいいんだよ」


イライラしてるのか、
口調が少し荒かった。


「なあ。昨日の態度、なんなワケ?」

「ああ。昨日」

「俺が青山を嫌いなこと知ってるだろ!」


ハルが怒鳴るから、
体がビクッと跳ねた。



「……琥珀のことは、悪かったって思ってる。けどな。俺が待てっていってるのに、どうして青山についていくんだよ!」

「それは……友達だから……」

「じゃあ俺はなんだよ⁉︎友達以下か?」

「そんなこと言ってないよ」



ハルの態度も気に入らない。


「ハル……どうして信じてくれないの?何度も言うけど、彰吾は友達だよ」

「青山はそう思ってない」

「そんなことない。大切な友達だって言ってくれた」

「好きなヤツを簡単に忘れるなんてできるワケねえだろ!」

「ハル……」

「心配なんだよ……」



時計を見るともうすぐ
先生が、教室に入ってくる。

それに、周りの目が……。

私たちを好奇の目で見ている。




「……そろそろ先生くるし、私行くね」

「心実!」




ハルが嫌い。

怖いよ。



「放課後、練習見に来いよ」



そうハルは言ったけど。

聞こえなかったフリをして、
私は扉をしめた。
< 94 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop