ネエ、チョーダイ
*
「じゃ、バイバイ!」
唯が元気に手を振った。
右と左と別れた交差点で唯とは違う道になる。
「うん、バイバイ!」
唯に大きく手を振り、小走りで家に帰った。
ガチャ・・・
玄関のドアを開けると、母がムスッとした顔で私を見下ろした。
あれ、私なんかしたっけ?
「ただいま。」
私は訳が分からず、とりあえず挨拶。
「おかえり。」
「・・・・・・。」
母は一向に私の前に突っ立ている。
フイッと右からよけて行こうとしたら、右にずれる母。
左に行くと左にずれられ、右に行くと右にずれられる。
前に進めないし?!
「他になにか言うことあるんじゃないの?」
母は野太い声で言う。
怖ーっ!
他になにか、って知らないよ。
今日帰ってくるのが遅かったから?
いや、でも・・・普段は部活があるからこれくらいだし。
まさか、唯の話に付き合って部活サボったことがバレたから?
いやいや、それはないよね。
んー。なんだろ。
ずっと私が悩み考えてると母はため息をついて
「本当忘れちゃったみたいね。今日は、初の塾、でしょ?」
「あ!・・・忘れてた。」
そうだった・・・。
昨日から「塾あるから、早く学校から帰ってきなさいね。」って何回も言われてたんだった。
この頃、成績悪かったし強制的に入れさせられたんだよなぁ・・・。
「早く支度してきなさい!」
「でも、もう遅・・・」
「遅刻したのは奈々が悪いんでしょう?」
「遅刻とか教室入りづらいもん。」
「学校じゃないんだから大丈夫よ。さ、早く!」
「〜っもう!」
バタバタと2階の自分の部屋に行き、支度をする。
はーあ、めんどくさい。
筆記用具と下敷きを違うカバンに入れて一階に行く。
「さ、行くわよ。」
「うん。」
車に乗り、急いで塾に向かった。