赤い流れ星3
「それじゃあ、KEN-Gさんはシュウさんがどういう暮らしをされて来られたか、なぜホストになられたかもご存知ないんですね?」

KEN-Gさんは私の問いに大きく頷かれた。



「あぁ、その通りじゃ。
そのことについては店に通っておいおい聞いて行く事にしようと思うとる。
ホストクラブは男だけでは行きにくい場所じゃし、これからもつきあっておくれ。」

「もちろんです!」

私にどんなことが出来るかはわからないけど、お二人のために出来ることはなんでもしようと思っている。
それに、ホストクラブは楽しいし、喜んでお供させていただくつもりだ。



「そういえば、ひかりのことじゃが…
シュウのこと…気に入ってると思うか?」

「ええ、はっきりとはおっしゃいませんが、かなり気にしてらっしゃることは間違いありません。
小説の主人公ということだけではなく……
記憶はなくされていても、やはりひかれるものがあるんじゃないでしょうか…?」

「だとええんじゃが……
しかし、今度は大変じゃな。
シュウは常に女性に囲まれるホストという職業じゃし…それに、ひかりはずいぶんと変わったし…
二人をどうやってくっつければ良いのか…」

KEN-Gさんはそう言って、深い溜め息を吐かれた。
ひかりさんが変わったっていうのは、見た目のことだろうか?
そういえば、小説の世界に行ってから精神的なストレスなどでずいぶん痩せられたようなことは
書いた記憶がある。
あちらではおしゃれもされるようになっていたようだし、きっとそのことなんだろう。



「お……大変じゃ。
もう夜明けになっとる。
すまんかったな、こんな時間まで引きとめて…
しばらくうちで仮眠していくと良い。」

KEN-Gさんの声にふと柱の時計を見上げると、まさに夜明け…
驚きの連続で眠気も全く感じてなかった。
こんなに時間が過ぎてたなんて……



「あ、ありがとうございます。
でも、私、帰ります。
家に戻って休みます。」

「遠慮なんかせんでええんじゃよ。
温泉にでも浸かって……」

「い、いえ……私…枕が変わると眠れない性質で……」

そんなことは嘘だった。
ただ、もしも、青木さんの家の誰かが、私がここにいることを知ったらおかしく思われるだろうから…
まさか、美幸さんとシュウさんのことで会ってたなんてことはバレるはずもないけれど、これからの計画のためにも出来るだけ私達が親密にしていることは知られない方が良いと思った。
だから、皆さんが出勤される前に家に帰りたいと考え、タクシーを呼んでいただくことにした。
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