赤い流れ星3




「本当に大丈夫かなぁ?
これ…本当に派手過ぎない?」

「大丈夫ですよ。
パンツから見えるのはこのあたりだけですし……」

美幸さんはファミレスに着くなり、さっき買ったばかりの靴をのぞいては考えこまれていた。
私がすすめたから買われたものの、やっぱりあんまり気に入られなかったのかしら?



「……私、こんな可愛い靴初めてなんだ。
だから、なんだか照れちゃうな。」

「え…?そ、そんなことないですよ。
きっとお似合いですよ。」

「……そう…?」

美幸さんはあの靴が気に入らなかったんじゃなくて、気恥ずかしかっただけなんだ。
確かに美幸さんはまだお若いというのに、身につけられるものは、服も靴も地味でどちらかというとくすんだ色のものが多い。
今日買った靴は、派手ではないけど明るく女の子らしいピンクだから、そう思われるのも仕方がない。
それにしても、靴にまで気を配られるようになったのは……やっぱり、純平さんのせいなのかしら?
そうだとしたら、まずい……
美幸さんには、シュウさんだけを見ていてほしいのに……



「あ…あの、美幸さん……」

私が話しかけた途端、美幸さんのバッグの中から賑やかな曲が流れ出した。
美幸さんもすぐに気付いて、電話を取られた。



「あ、おじいさん?
うん、うん、えっ!そうなの?
うん、こっちは構わないよ。
うん、うん……」



言葉の端々から察するに、どうやら相手はKEN-Gさんみたい。
もしかしたら、お店に行く日が決まったのかもしれない。



「うん、わかった。
あ、それでね、今…え?
あ、うん……そうなの?わかった。
じゃあね!うん、うん、バイバイ!」



「野々村さん、ごめん!」

「え……?なにがですか?」

電話を切るなり、美幸さんは両手を合わせ、そう言って私にすまなさそうな顔を向けられた。
謝られる理由なんてなにも思い当たらない私は、困惑してしまい質問を返した。


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