赤い流れ星3
side 美幸




昨夜はお酒を飲んでたせいか、あんな事があったのに、私はぐっすり眠ってた。
そのおかげで、今朝はいつもより少し早めに目が覚めて……
こんなに早くにメールするのは迷惑かも……とは思ったけど、どうしても我慢出来なくて私は野々村さんにメールを送信した。
相談したいことがあるから、今夜会えないかって。
でも、このところ、毎日みたいに野々村さんと会ってるし、昨夜は帰りが遅くなったこともあって、兄さんには言い出しにくい。
う~ん、どうしよう……
本屋に寄って帰るとでも言おうか……



「どうした?今日はいつもより早いじゃないか。」

「え…?あぁ…昨夜はとにかくはっちゃけちゃったからぐっすり眠れてね。
やっぱり、カラオケはカロリー消費するんだね。」

「……そういえば、昨夜はおまえ化粧してたな?」



(な…なんですと…!?)



「え……あ、はは…気付いてた?
よ、酔った勢いで、野々村さんにやってもらったんだ。
ほ、ほら、野々村さん、最近すごく綺麗になったじゃない?
それで私もちょっと焦っちゃったっていうか、憧れたっていうか……ははは…」

うかつだった!
昨夜、兄さんは化粧については特になにも言わなかったし、ちょっとだけ遅くなった言い訳をしてそのまますぐにお風呂に入って寝たから、自分でも気付いてなかったけど……そうだよ…私、昨夜は化粧してたんだ!
なんとか取り繕って笑ってみたけど、兄さんは何かおかしいと感付いているのかどうなのか…!?
緊迫した空気を紛らすように、私はオムレツを口の中に放りこんだ。



「……おまえ、化粧品は持ってるのか?」

「う、ううん。
私はリップくらいしか持ってないよ。」

「……それでも女か……」

本当にこの兄は口が悪いっていうか、なんていうか……
こういう時の人を馬鹿にしたような目つきは、ドSキャラそのものだね。
でも、ま、特に勘ぐってはないようだから、良しとするか。
とりあえずは、窮地を脱したことで、私はほっと胸を撫で下ろした。


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