赤い流れ星3
side 野々村美咲




「ええっ!ひかりちゃんがそんな事を……!?
そ、それは完全に誤解ですよ!
あの時、ひかりちゃんはシュウさんに送ってもらったお礼をしなきゃいけないんじゃないかって考えてたって言ってて……だから、そんなことはしなくって良い。
ひかりちゃんは大河内さんの知り合いなんだしって僕が言って……
それは…その、つまり、大河内さんは僕らの店の大家さんなわけだし、その知り合いのひかりちゃんを送って行ったことくらいでお礼なんてすることないって意味で……
……あぁ、どう言ったら良いんだろう!?
とにかく、僕はひかりちゃんが誤解してるような考え方はしてないんです。
僕は、ひかりちゃんが来てくれたら本当に楽しいし、お客さんっていうよりもむしろ友達みたいな感覚で……
美咲さん…!うまく説明出来ないけど、どうか信じて下さい!」

そう訴える純平さんの言葉には、熱がこもっていた。



「……そうだったんですか。
わかりました。
私は純平さんのおっしゃることを信じますよ。
ひかりさんには私の方からちゃんと伝えておきます。」

「ありがとう、美咲さん!
あ…遅い時間に失礼しました。
でも、良かった……美咲さんと話せて……
このままひかりちゃんが勘違いしたままで、電話にも出てくれないような状況が続いてたら、僕……」

純平さんが口にしようとした言葉に、私は焦りを感じた。



「あ……すみません。
お湯がわいたので…それじゃあ……」

「あ、こちらこそすみません!
では、ひかりちゃんのこと、どうぞよろしくお願いします。」



(純平さん、ごめんなさい……)



お湯なんてかけてなかったけど、私は純平さんの言葉が聞きたくなくてそんな嘘を吐いた。
確かに、順平さんとひかりさんは気も合ってらっしゃるし、お似合いだけど……
でも、ひかりさんのお相手はシュウさんなんだもの。
シュウさんじゃなきゃだめ!
シュウさんのひかりさんへの熱い想いを無駄になんて出来ないもの……!

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