赤い流れ星3
side 野々村美咲




「なんと!シュウがひかりにそんなことを…!?」

私は最近のシュウさんとひかりさんのことをKEN-Gさんに電話した。



「ええ…シュウさんは記憶を取り戻したわけではないと思いますが、それでもやはりどこかにひかりさんのことが気にかかってらっしゃるようです。」

「記憶はゲートを動かすエネルギーに転換されてしまったから、戻ることはないじゃろうなぁ……
それでもシュウの心にはひかりの記憶がわずかながら残っておるのじゃろう。
それは良いとしても、なんだか難しい雰囲気じゃのう。
シュウもまだストレートにひかりに惚れているということではないじゃろうし、一度渡した名刺を捨てろとか、そんなメールを送るようでは、二人がうまくいくにはまだまだかかりそうじゃのう。」

KEN-Gさんは残念そうな声でそう言われ、小さなため息を吐かれた。



「そうなんです。
それに、純平さんが……」

「純平……?あぁ、ひかりとよくアニメソングを歌う若い子じゃな。
あの子がどうした?」

「ひかりさんと純平さんはよく連絡を取られているようなんです。
お二人は趣味の点でもよく気が合ってらっしゃいますし……なんだか、お互いに好意を持たれているようで……」

「な、なんじゃと!
それはまずい!
そんなことになったら、ひかりとシュウの距離が離れてしまうではないか。」

KEN-Gさんは、純平さんとひかりさんのことは今までまるで気にされていなかったようで、酷く驚かれていた。



「そうですよねぇ……」

「よし!これからは、別のホストを呼んでもらうことにしよう。
そうじゃ、野々村さん!
今度からわしは純平の代わりに入る新しい子と話すようにする。
じゃから、あんたはジョーとよく話してくれ。
そしたら、ひかりはシュウと話さんといかんようになる。
マンツーマン作戦じゃ!
早速、近いうちに作戦開始するぞ!」

「で、でも、そんなことしたら、ひかりさんがどう思われるか……」

「大丈夫じゃ!
ひかりに悪い虫を寄せつけるわけにはいかん!
早いうちに離さんとな!」

KEN-Gさんはえらくはりきってらっしゃったけど、私は不安で気持ちがざわめくのを感じていた。

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