赤い流れ星3
side シュウ




「わかりました。
では、お待ちしております。」



(……なんてタイミングの良い……)



大河内のじいさんからの電話に、俺は一人頷いた。
じいさんからの電話は、近々また店に遊びに来るということだったが、その時にいつもの純平ではなく、もっと面白いホストに変えてほしいとの要望があった。
わーーっと盛りあがる漫才師のような明るい子が良いとのこと。
確かに、純平は話術がうまいというタイプではない。
暗いということはないが、明るくもない。
普段から、純平を指名するのは、割りと大人しいタイプの子ばかりだ。
じいさんの席ではカラオケをやる分、普段よりは多少弾けて見えるが、元はけっこう地味な男だ。
だから、陽気な大河内のじいさんには純平では物足りなかったのかもしれない。



(最初から俺の人選ミスだったってことか……)



純平はひかりのことを気に入っている。
本人が否定しても、そのことは俺の目には明らかだ。
純平もホストだから、客に本気になるようなことはないとは思うが、そうはいっても感情というものはなかなかうまくコントロール出来ないものだ。
ましてや、まだ若い純平なら特にそうだろう。
しかし、ひかりは純平が想っているような女ではない。
見た目とはまるで違う強かな女だ。
純平が本気になっても、ひかりが純平になびく道理はない。
それなら、今のうちに接点をなくして二人が会わないようにしてやった方が、純平のためになる。



だが、純平ももう立派な大人だ。
注意はしておこうと思ったが、俺がそこまで介入するのもどうだろうという想いもあった。
そんな時に、まるで俺の意志を読んだかのような大河内のじいさんからの電話があったというわけだ。



(……純平はツイてる。)



客からの要望なら仕方がない。
これで、純平もひかりと会うことがなくなるだろうし、そうすれば傷付かずに済む。
そう考えると、俺も気が楽になった。



(爺さん…ありがとう。)



俺は、心の中でそっと呟いた。
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