赤い流れ星3




「うん、うん、あ、そうそう。
それでね……」

居間へ向かうと、美幸さんは電話で話されていて……



「あ!野々村さん!おじいさんから電話だよ。
おじいさん、ちょっと野々村さんに代わるね。」

そう言って、美幸さんはスマホを私に手渡された。
KEN-Gさんは、私が頼んだ通り、ずっと美幸さんと話して下さってたようだ。
美幸さんの様子もさっきとまるで変わりがないから、純平さんのことはまだご存知ないんだと、私はほっと胸を撫で下ろした。



「こ、こんばんは。
野々村です。」

私は、さっきKEN-Gさんにお願いしたことを美幸さんに悟られないように、ごく普通に挨拶をした。



「野々村さんか、言われた通り、ひかりとずっと話しておったが、これで良かったかな?」

「は、はい。」

美幸さんがすぐ近くにいらっしゃるので、私は短くただそれだけ答えた。



「そりゃあ良かった。
それでじゃな…ひかりから、あんたの家におると聞いたから、今そっちに向かっておるんじゃが……もうでかける準備は出来とるかな?」

「え…ええ、大丈夫ですよ。
ここの場所はわかりますか?」

「あぁ、ひかりに聞いたからのう。
……ん?」

KEN-Gさんの運転手さんなのか、誰かの話す声が聞こえた。



「今、それらしき場所に着いたが、ここかいのう?」

「え?もう着かれたんですか?」

確かに、今、表で車の停まる音がした。



「美幸さん…KEN-Gさん、もう着かれたみたいですよ。
出掛ける準備は大丈夫ですか?」

「え!?ずいぶん早いね。
私は大丈夫だけど……」

「じゃあ、今、出ますね。
今日はよろしくお願いします。」

私は電話を切り、美幸さんと一緒に慌しく家を飛び出した。
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