赤い流れ星3
side 美幸




(あ~あ……なんでこんな日に限って……
急いで帰って来て、損した!)



「美幸、今日は意外に早かったんだな。」
な~んて言いながら、兄さんはちょっと機嫌の良い顔をするんじゃないかと思ってたのに、家に戻ったら誰もいなかった。
お風呂に入って、0時を過ぎても男達は戻って来なくて……
私は、なんだかすごく損した気分になった。



それと……
今日は、純平君からなにか連絡があるんじゃないかって思ってたけど、なにもなくてがっかりした。
でも、純平君は、今、新人さんの指導係りみたいなことをしてるみたいだから、きっとそのせいだよね。
新人さんの手前、ほいほい私用のメールなんて出来るはずないもん。
だから、お店が終わった頃に、なにか連絡をくれるかも…って考えながら、その間、野々村さんとメールでもしようと思ったんだけど、なぜだか返信がなかった。
野々村さんはいつも夜更かしだからまだ寝てはいないと思うんだけど、この前も急ぎの仕事があるとか言ってたし、今夜もなにか忙しいのかもしれない。




(あぁ、退屈……)



ぼんやりと天井を見上げていると、ついさっきのお店でのことが思い出された。



……シュウさんに酷いことしちゃったかな?
シュウさんは、ただ私の指輪を見ようとしただけなのに、私ったらあんなことしちゃって……
謝らなきゃいけないかな?

いや……謝るとしたら直後だよね。
今更蒸し返すようなことをしたら、却っておかしい。
第一、シュウさんはあんなこと、気にもしてないよね。
そうであってほしい。
だって…恥ずかしいもん。
まるで、私…シュウさんに手を握られそうになったって勘違いしたみたいだもん。

シュウさんがそんなことするわけないのに……
今日の態度でもよくわかったよ。



(シュウさんは、私のことを嫌ってる……)



今更気にするようなことじゃない。
そんなこと、前々から予感してたよ。



(……アニメでも見ようかな……)



気分転換のため、私はお気に入りのアニメのDVDをセットした。
大好きなアニメなのに、なぜだか頭の中をすり抜けていく……
その代わりに浮かんでくるのは、シュウさんのちょっと意地の悪い顔……



(……関係ないよ。
私が好きなのは、純平君なんだもん…)

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