赤い流れ星3
side 美幸




「そうなんだぁ…
でも、入って来て早々そんなお客さんにあたったら、落ちこむのも無理はないよね。」

「……だよね。
僕も昔のこといろいろと思い出しちゃったよ。
祐司が辞めるなんて言い出さなきゃ良いんだけど……」



純平君との付き合いは、とても順調だ。
付き合いといっても、今はまだ電話やメールだけだけど、最近の純平君はちょっとしたお悩み相談みたいなことも話してくれるようになって、それって私のことを信頼してきたってことかなぁ…なんて。
これって自惚れ?



「大丈夫だよ!
純平君みたいに、親身になってくれる人が傍にいてくれたら、きっと祐司さんも乗り越えられるよ。」

「……だと良いんだけどね。
最近の若い子って、打たれ弱いし、本当にこらえ性がないからねぇ…」

「若い子って……純平君……
あ、あれ?そういえば、私、純平君がいくつなのかまだ知らないよね。」

よく考えればおかしいことかもしれないけど……私、こんな話をするまで、純平君の年齢のことなんて考えたこともなかった。



「あれ?そうだっけ?
聞いたらひくかなぁ……
僕…実は、もう三十路なんだよ。」

「えっ!?そうなの?
もっと若いかと思ってた。」

「若く見えるっていうのも、良いことなのか良くないことかわからないけど……とりあえず、店では、26って言ってるんだ。
……嘘吐きなおじさんでがっかりした?」

「ううん、全然。
私の方が年上じゃなくて良かったよ。」



そうだ…私はまだ純平君のことを何も知らない。
名前だって知らないんだ。
なんて苗字なのかも、「純平」っていうのが本名なのかお店での名前なのかも……

私も何も教えてない。
っていうか、教えても良いもんなんだろうか?
一応、相思相愛なんていっても、純平君はホストだもん。
私が思ってる程、本気じゃないかもしれない。
とはいっても、個人情報を悪用するほど悪い人だとは思えないけど。



(あれ……?
そういえば、純平君……私の年を聞かないね。
なんでだろ?
興味ないのかな…?)



「……純平君、私ね……」

「あ、ひかりちゃん、ごめん。
ちょっとお呼びがかかったから……また電話するね。」

「あ…う、うん。
じゃあね。」

慌しく電話は切れて……
どこか寂しい気持ちを抱えたまま、私は無理にそのことを考えないようにした。
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