赤い流れ星3
「ほら見ろ、マイケルが変なことを言うから美幸が驚いてるじゃないか。」

兄さんの声はさっきよりさらに不機嫌なものに聞こえた。



「どうして?
KEN-Gは老人だけど、れっきとした男性だよ。
しかも、とんでもない程のお金持ちなのにいばったりしなくて気さくで明るくて…その上、けっこう気が利いていて優しいし、一緒にいてとても楽しい人だと思わない?
僕達と対等に遊べるだけの体力や気持ちの若さだって持ってるしね。
……こんなこと言っちゃ悪いけど、野々村さんって間違ってもモテるタイプじゃないよね?
今もつきあってる人がいる気配はないし、それに、ほら年だって…
日本人は年のことをとても気にするじゃない。
若いうちはちやほやするくせに、女性がちょっと年取ると割りと意地悪な態度を取ったりするもんね。
彼女も年のことでいやな思いをしたことがあると思うんだ。
だけど、そんな野々村さんもKEN-Gと比べたらずっと若い。
年のことでいやな思いをすることもないし、安心出来るっていうのか…そういう気持ちが恋心に変わっても不思議じゃないよね?
ねぇ、美幸ちゃんはそう思わない?」

「え…う、うん…
確かにそういうのはあるかも…」

マイケルさんの話にはとても説得力があって、私は知らず知らずのうちに頷いてしまってた。
その時、ふと見た兄さんは、私のことをすごくきつい目で睨んでて……



(な、なんで…?
私、なにか、おかしなこと言った?
なんで、そんな目で私を睨むの!?)



どう考えても理由がわからない。
兄さんはアッシュさんには反論してたけど…
私が納得したのはマイケルさんの言ったことで、アッシュさんの話じゃないよ。
でも、それがどうして兄さんを怒らせるの?
もしかして……八つあたり…?

私は全く意味がわからず仕舞いで……すっきりしないながらも怖いから、兄さんの刺すような視線を逸らしてそっと俯いた。
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