赤い流れ星3
「それにしても、野々村さんのことはちょっと意外だったよね。」

「野々村さんの事?
……一体、何のことだ?」

「何のって…KEN-Gに友達になってほしいって言ったことだよ。
ボク、彼女があんなに野心家だとは思わなかった。」

「野心家…?
大河内さんに友達になってほしいっていうのが、なんで野心家なんだ?」

その質問に、アッシュさんは大袈裟に目を見開いて、兄さんのことをじっとみつめた。



「カズ…そんなこと、本気で訊いてるの?
野々村さんは、KEN-Gと友達になりたいんじゃなくて、きっと妻の座を狙ってるんだよ。
だって、KEN-Gはあの通りの大金持ちだし、結婚すれば一生遊んで暮らせるじゃない。」

「アッシュ…なに、馬鹿なこと言ってる…
大河内さんと野々村さんじゃ、年が違い過ぎるじゃないか。
それに、あの野々村さんはお金に執着のある人じゃない。
昨日からのことは彼女にとっては刺激の強い出来事だっただろうから、きっと、ついテンションが上がってあんなこと言ってしまっただけだ。」

兄さんはなんだか不機嫌な声で、アッシュさんの考えを否定した。



「そんなことないと思うよ。
だって、友達になってもらえるってわかった時、彼女は涙を流してたんだよ。
友達になってもらえるだけで泣くなんて、どう考えてもおかしいじゃない…普通じゃないよ。」

「それは…彼女は友達も少ないみたいだし、きっと半ば興奮状態であんなことを言ってしまったから、それで少し混乱していただけだろう。」

「ええーーっ…カズ、本気でそんな風に思ってるの?
信じられないっ!
……じゃあ、マイケルはどう思う?」

「え…僕?
僕は……う~ん…確かに僕も野々村さんはお金に執着のある人だとは思わない。
だけどね、KEN-Gに特別な関心を抱いてるような気はする…
もしかしたら……彼女はKEN-Gに男性としての好意を抱いてしまったんじゃないかな?」



「えええーーーーーっ!」



マイケルさんの話に、私は思わずおかしな声を上げてしまってた。
だって、おじいさんは本当にどこからどう見ても老人で、恋愛という言葉からは程遠いイメージの人なんだもん。
< 31 / 761 >

この作品をシェア

pagetop