赤い流れ星3
side 和彦




「兄さん、今日もシュウさんのお見舞いに行って良いかな?」

次の日の朝、美幸が俺にそんなことを聞いて来た。



「それは構わないと思うが…だったら、俺も行くよ。」

「いいよ、シュウさんは私のせいで怪我したんだし…」

「妹を助けてもらったんだ。
俺だって、なにもしないわけにはいかないだろ。」

俺達は、シュウの好きなケーキ屋でケーキを買い、それと花を持って見舞いに向かった。



「シュウ…具合はどうだ?」

「あぁ、なんてことない。」

シュウは思ったよりも元気そうだった。



「シュウさん、あの…良かったらこれ…」

美幸が差し出すケーキを、シュウは微笑みながら受け取ってくれた。



「慎二は戻ったのか?」

「あぁ、やっとな。」

今日は慎二の代わりに、見慣れない男がいた。
俺とシュウが他愛ない会話を交わす間に、美幸は花を花瓶に活けたり、こそこそと動いていた。



「いつ頃退院出来そうなんだ?」

「もうすぐだろう。」

「もうすぐ?」

「あぁ、傷自体はそれほどたいしたもんじゃない。
ただ、こういう機会だから、あちこち徹底的に検査してもらえってジョーが無理矢理言うもんで…それで、数日伸びたんだ。」

確かにホストはハードな職業だ。
ほぼ毎日酒は飲むし、シュウは煙草も吸うし、仕事柄、毎晩、夜更かしをする。
オーナーとして、いろんなところに気を遣うだろうし、普段から肉体的にも精神的にも疲れてもいるだろう。
ジョーはそういうことから無理を言ったんだろう。



「そういうことか…
それは正解かもしれないな。
おまえも、そう若くはないんだ。
検査はやっとくべきだな。」

「そういうあんたはどうなんだ?
いつも若い子達と遊びまわってるみたいだけど、大丈夫なのか?」

「俺は一応定期検診を受けてるから。」

「なるほどな。
おかげで朝から忙しい。
病院にいてこんなに忙しいことがあるなんて知らなかった。」

「良い経験じゃないか。」

俺がそう言うと、シュウは苦笑した。
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