赤い流れ星3




ベッドに横になると、なんだか不意に笑みがこぼれた。
さっきまで、けっこう何回も青木さんとLINEのやりとりを続けて…
そのことを思い出すと、自然と顔がにやけてしまう。
本当に他愛ない話ばかりだったのだけど、それが妙に楽しくて…



考えてみれば、今まで私はお付き合いをしたことはあったけど、こんなに楽しい想いをしたのは初めて。
だって、お付き合いをしてるとはいえ、相手のことを好きじゃなかったんだもの。
多分、今日のこの気持ちが『トキメキ』ってやつなんじゃないかしら?



こんなおばさんがトキメキなんて、おかしいかもしれないけれど…
でも、私にとってはとても大切なこと。
たとえ、偽りの恋だとしても、私は本当に幸せ。



いえ、私のこの気持ちは偽りなんかじゃないんだから、『偽りの恋』じゃないわ。
青木さんは偽りでも、私は本気なんだから。
一方通行の恋だけど、それでもこんなに幸せを感じられるなんて…恋って不思議。



こんなお芝居をいつまで続けるのかはわからないけど、どうか一日でも長く続いて欲しい。
窓から見える月に向かって、私は切なる願いを込めた。
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