赤い流れ星3
今まで、LINEは用事のために使うものだと思っていた。
こんな風に、どうでも良いようなことをやりとりするのは、暇な学生だけだと思っていたが、やってみると、これが思いの外楽しいんだ。
時間を忘れてしまう程に。



いや、これは学生のやっているやりとりとは違う。
俺は、野々村さんと付き合ってるふりをしているから、ボロが出ないように、打ち合わせをしているだけだ。



(そう…それだけのこと。)



あ、そうだ。
仕事のせいだ!
昨日、長くゴタついていた取り引きがようやく片付いたから…
だから、テンションが上がってるんだ、きっと。



明日は時間的にもゆとりがあるし、久々に外で食べるか…少し酒でも飲んで…



そう思った時は、確かにアッシュやマイケルと行こうと思ったはずなのに、俺はなぜだか野々村さんにLINEを送っていた。



返事はすぐに返ってきた。
もちろん、良い返事だ。
思わず、顔が綻ぶ。



(なんでこんなことくらいでこんなに嬉しいんだ?
今日の俺はどうかしている…早めに寝た方が良さそうだ。)



そう思うのに、その晩はなかなか眠れなかった。
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