赤い流れ星3

side 和彦

全くもうっ、野々村さんの人の好いのには呆れてしまう。
今回はどう考えても俺達の勝ちだろう。
なのに、美幸チームの勝ちだなんて…
きっと、美幸やシュウに同情したんだな。
シュウがあんな格好をしたせいか?
シュウの奴、よく断らなかったな。
完全に美幸の趣味だ。
まぁ、確かに着こなしのせいかオタク臭くはなかったが、でも、センス対決なら、どう考えても俺達の勝ちだ。
美幸でさえそのことがわかってるのに。



「どうするんだ?」

「どうって……」

「引き分けは嫌だぞ!」

「俺だって!」

シュウと俺の間に火花が散る。
俺同様、シュウも譲る気はなさそうだ。
しかし、困ったな。
このままでは勝負が付かない。



「じゃあ、ジャンケンで決めたら?」

美幸がおずおずとそんなことを言った。



「よし、それでいいぜ。
恨みっこナシだぞ!」

「お、おう!」

シュウが同意してしまったから、俺も断ることが出来なかった。



「じゃあ、いくぞ!じゃーんけーん、ぽん!」



シュウはチョキ、俺はグーだった。




「やった!俺の勝ちだ!
野々村さん、勝ちましたよ!」

野々村さんは微笑みながら、小さく頷いた。
シュウのガッカリした顔に、思わず笑みがこぼれた。
やはり、神はいる。
勝つべき者が勝ったんだ。
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