赤い流れ星3
side 美幸




「わぁお!すっごくクールなブレスだね!」

「誕生日でもないのにカズがプレゼントをくれるなんて…雨でも降るんじゃない!?」

「……カラオケの時のお詫びだ。」

「あんなことくらいで、こんなのもらえるなら、毎週でも酔い潰れてくれて良いよ!」



いつものことではあるけれど…朝早いというのにアッシュさんのテンションは高い。
でも、一応、兄さんが選んだブレスを二人共気に入ってくれたみたいで…兄さんもなんだか嬉しそうだ。



昨日は、買い物が済んだらまたあのファミレスに行って、食事をしながら兄さんとけっこういろいろと話をした。
二人っきりで外で食事するのもめったにないことだから、ちょっと緊張したけど、家ではあまり話さない両親のことや、おばあちゃんの家にいた頃の話、そして、将来のこと…声が枯れる程、長い間、話した。
まぁ、後半は、思った通り叱られてばかりだったけど、その叱り方もいつもみたいに一方的で頭ごなしな口調じゃなくて…
早くに結婚した方が良いなんて言われても、そんなこと、まだ素直には聞けないけど……でも、兄さんが私のことを真面目に考えてくれているってことはなんとなくわかったような気がして……それはそれでちょっと嬉しかったな。
考えてみれば、ここに来るって決めた時だって、私は半分以上諦め気分だった。
私にはここしか逃げ場所はなかったんだから、それなりには頑張るつもりではあったけど…兄さんのことだから、実家に戻れって言われるんじゃないかって思ってたし、言い出すまでには本当にものすごく悩んだんだから…
だけど、兄さんは意外な程すんなりと私を受け入れてくれた。

「真面目に働かなかったら、すぐに実家に送り返す。」
そうは言われたけど、母さん達にもちゃんと話をつけてくれて…
ちょうど、亜理紗さんのことでごたごたしてた時でもあったから、今思えば、兄さんも母さんとは話しにくかっただろうに、それでもちゃんと私を引き取るように話をつけてくれた。



(……感謝しなきゃ、ね……)



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