赤い流れ星3

side 美幸

久しぶりに会った母さんは、なんだかいつも以上にトゲトゲしかった。
野々村さんのことが気に入らないんだろうか?
それとも、兄さんが勝手に結婚したことに怒ってる?
でも、そんなことは兄さんの問題だ。
私にまであたらないでほしい。
きっと、おじいさんの家を見るまで帰らないんだろうな。
いやだなぁ。



車の中でも、気まずい雰囲気は続いていた。
父さんや兄さんが何かしゃべっても、母さんの嫌味で終わってしまう、みたいな、そんな繰り返し。
私がもっとおしゃべり上手だったら良かったのだけど、人一倍口下手だから、上手く繋げることは出来ないし。



気まずい雰囲気を引きずったまま、観光地をいくつか回って…
私もまだ行ったことがない所もあったから、本当なら楽しいはずなのに、母さんが気になって全然楽しめない。



「美幸、何か食べたいものはないのか?」

「あ、ううん。今は良いよ。」

お団子やらソフトクリームやらクレープやら、美味しそうなものはあったけど、そんなの食べるって言ったら、また母さんが何か言いそうだから、言えなかった。
父さんも気を遣って言ってくれてるんだから、食べた方が良かったのかな?
でも、ひとりだとやっぱり食べにくいよ。
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