赤い流れ星3
(馬鹿みたい……
これって、ジェラシーなのかしら?
見苦しいわ…
私なんかに、青木さんが振り向いて下さる筈なんてないのに……
……そうよ……
今の私と青木さんの間には、以前のように美幸さんのことでの親密な時間も、その秘密を共有する事での信頼関係もない…
私と青木さんの関係は、以前よりももっと希薄なものになってるはず…
……そうだ…私の能力のこともきっとまだご存知ないはずだわ。
それに……きっとあのことも……)



そうなんだ。
きっと、青木さんはあの時のキスのことなんて気にしていないどころか、その事実さえなかったのかもしれない。
亜理紗さんのことは変わらずあったみたいだけど、美幸さんのことがなければ私達はあんなに頻繁に連絡を取り合ったり、二人で合う事もなかったはずだし、だとしたら、亜理紗さんのゴタゴタの時、うちに来られてたとしても青木さんがあんなことをされるわけがない。



(……あのことは本当にただの夢になったってことね…)



そう思うと、胸の奥にすきま風が吹いたみたいに寂しくてたまらない気持ちを感じたけど、却って、諦めるきっかけにはなるかもしれない。
私の役目は終わってしまったけど、出来る事ならこの先、シュウさんと美幸さんがどうなるかを見届けたい。
見届けるだけじゃなく、私にも何か出来る事があれば、もちろんお手伝いもしたい…
だけど、私に出来ることなんてきっと何もない。
私にはそんな力はないんだから…
そうだ…私に出来る事といったら、今まで通り、青木さんのお仕事をほんの少しお手伝いするだけ。
気になることはたくさんあるけど、私しかあのことを覚えてない以上、きっとすべてが明らかになるようなことはないと思う。
それはとても怖いことだけど、少しずつその事実に慣れていくしかない。



(そうよ…
今は混乱してるけど……大丈夫。
きっと乗り越えられるわ…!)



私は、心の中で強くそう宣言した。

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