嘘つきラビリンス
「大丈夫、恋羽さんはここに帰ってきたときもう爆睡だったから」


目の端に涙を浮かべながらトーマがそう説明してくれる。

確かに記憶がない。

ってか、あのお店を出た記憶すらない。

あー、確かに酔っ払いたいとは思ってたけどここまで酔っちゃうなんて。

でも――。


「……なんで?」


それならどうして彼がここにいるの?


「ん? 襲わなかった理由?」

「違うっ! なんでうちにいるのってことよ! って、痛ぁーい!」

「ほらほら、お水」


言われてまた水を飲む。

ほっと息をつくと、


「覚えてないの?」


彼はまるで捨て犬のような目を私に向けた。
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