嘘つきラビリンス
……待ってよ。

そう言って泣くことが出来たらどんなにいいだろう。

だけど、私は遠くなる彼の背中を睨みつけることしか出来なくて、その背中もドアの向こうに消えてしまった。


「……」


嘘でしょ?

これは悪い夢なんでしょう?

そう思うのに締め付けるような胸の痛みはリアルだ。


「……嘘」


小さく口にすると滲む視界。


「なんで……」


彼とは、結婚するんだと勝手に思ってた。

そんな約束はしてないけど、
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